水素の生成方法と言って、最初に浮かぶ方法としては、水を電気分解でしょうか?水素の生成については、クリーンなイメージとは別に様々な問題をかかえています。
現在考えられてる、水素生成の種類
2016年4月に資源エネルギー庁が発表した、「水素の製造、輸送、貯蔵」において、水素の生成方法として大きく4つの方法が紹介されています。
石油・天然ガスなどを使っての水素生成
石油・天然ガスなどのいわゆる化石燃料と言われたものを使っての水素生成については、現在主流の方法です。これは、簡単にいうと、化石燃料と水を混ぜて、高温で分解する事によって水素を取り出す方法です。大量に安定的、しかも安価でつくれる一方で、CO2やNoxといった、地球温暖化ガスが発生する事から、環境問題で考えれば逆行している方法であります。
バイオマスから出た、メタンガスやメタノールからの改質による水素生成
これも、石油め天然ガスと同様に、炭化水素と水を反応させる事で、水素を取り出します。これら石油・天然ガスを利用した方法と同様で、CO2、Noxの発生については、問題があります。また、水素を大量に発生させるためには、新たなプラントを作る必要があります。
製鉄所、化学工場からの副産物
製鉄所や化学工場からは、生産工程から水素ガスが発生しています。実際副産物のため、原材料費がかからないとの事で、提案されている方法であるが、燃焼ガスである水素を現在もそのまま排出している事は少ない。副産物として水素ガスを多く発生させているのは、苛性ソーダで、電気分解で生成している関係もあり、高濃度で品質も良いし、一部は外販の実績もある。しかし、苛性ソーダーだけでなく、製鉄でも、自社内で燃料としてエネルギーのリサイクルとして使用しているのもあるため、大量の外販は困難である。また、水素需要が伸びる将来としては、副産物としての水素利用は、厳し状況である。
アンモニア生産工場では、余剰水素を利用する。
アンモニアは、水素と大気から抽出した窒素を水素によって固定化する形で製造、生産を行っています。その時使われる水素製造装置は、一般的に石油などの化石燃料を使用して作り出されています。現在 水素製造装置は、アンモニア生産量が落ち込んでおり水素製造の余剰はあるが、アンモニア生産が減少している理由として、石油などの化石燃料の昨今の高騰によって、海外からの輸入に頼っている理由があるので、エネルギーコストとしても高くなり、石油、化石燃料の安い海外で水素製造をして輸入しても非常にナンセンスな考え方である。
自然エネルギーを使って発電をして、それを水素に変えて利用する。
太陽光発電や風力発電によって、得られた電気エネルギーを使って、水を電気分解して、水素を得る方法。この水素生成方法は、非常に効率は悪く、電気コストを換算すると、石油から作られる場合の約4倍の費用がかかる。しかしメリットとしては、CO2などの地球温暖化ガスは発生しない。これのメリットは、自然エネルギーを使用した発電した電力を一次水素という形で保管が出来る事でしょう。自然エネルギー発電には、発電に安定感が欠ける問題がある。太陽光であれば、昼間しか発電が出来ない、風力であれば、風が吹いている時と、電力供給にムラが生じるが、水素に変換して、保管する事が出来るようになる事でメリットがある。但し、現在日本国内には、それほど自然エネルギー発電が無いため、新設する必要がある。
水素生成から見る、水素発電の問題点
水素については、クリーンなイメージ高く、水素で発電する燃料電池については、脚光を浴びていますが、こと水素の生成については、あまり、報道もされていません。いままでの問題点をまとめると次のようになります。
・化石燃料を使用した、水素生成は、1番安価に供給可能だが、地球温暖化ガス等の問題が発生する。
・生産工場からの副生成した水素については、生産の安定が出来ない。既に生産工程で利用している。
・電気分解による水素の生成については、電気代が非常に高くなり、その電気の供給を考えると、非効率である。
・現在水素の供給については、石油、天然ガス等よりつくられているが、将来的な水素利用を考えると新設する方がメリットが高いと思われます。
・全部の工程から見ると、水素発電はクリーンなものは、現在無い
ドイツで活発になっている、風力発電からの水素生成
先ほどの自然エネルギーを使って水素を生成する方法として、ドイツが一歩先をすすんでいる。ドイツは、脱原発に力を入れてる事から、再生可能エネルギーの利用に活発である。ドイツで、注目されたのが、風力発電である、その発電場所としてドイツ北部に集中している。しかし、北部には、電力需要が無い事から、工業団地の多い、ドイツ南部に送電する必要がある。しかし、送電線を新設が送れているため、余った電力を利用して、水素を生成するプロジェクトが増加しているとの事です。
風力発電は、基本24時間休みなく発電をしていますが、電力事情としては、工場の稼働が多い、昼間に電力が必要で、夜間は、それほど必要ない状況ですので、夜間に発電したものを水素という形でタンクに溜めるのは、効率的にも良いと考えられます。
これからの水素生成方法
今後の水素生成方法のひとつとして、2015年7月3日に、パナソニックが発表した、太陽光を使用した、水素生成器が、非常に将来性が高いのではないかと考えます。通常の太陽光パネルは、太陽光の中の波長の短い紫外線を利用して、直接電気を作り出しているものです。しかし太陽光パネルを作っている材料のシリコンは、地球上には豊富にあるのですが、シリコンの生成に大量の電気を使用する関係で電気の安い国である、中国、ブラジル、ロシアなどが、産出国となっており、乱高下しやすい材料で、最近は供給不安も問題となっているのです。
一方でパナソニックが開発をしているものは、太陽パネルに、ニオブを使ってるものです。原産国としては、ブラジルやカナダで99%締めており、非常に含有率が高く、高品質なため、価格等も安定しており、安定価格のパネルが作れるとして開発を進めている。パナソニックでは、このニオブを使った太陽パネルは、紫外線の範囲よりも広い、可視光域を利用した発電を研究しており、それを使って水から直接水素を取り出し、エネルギーとして使用する構想である。
地球温暖化の問題である、CO2の排出も無いため、非常に将来性の高い技術である、但し、ニオブは、太陽パネルのような光触媒材料以外にも、超硬の工具の材料、超伝導材料、圧電素子、熱電素子等など、使用用途の多い材料でもあります。
参考資料
CO2出さない水素製造事業、巨大市場見据え世界で始動(日本経済新聞)